「咲桜、なんか言いたいことある?」
 

笑満が、可愛い大きな瞳を何度か瞬かせながらこそっと訊いて来た。
 

いつもの休み時間。


私と笑満は窓際の頼の机の周りに集まる。


頼は大概机に突っ伏して寝ているので話に参加はしないけど、小学校からの習慣だった。
 

私は内心、「あー」と唸ってから答えた。


「……わかる?」


「うん。何? トラブル発生? 頼がまたなんかやったの?」
 

眉根を寄せて心配顔の笑満に、私は目線をおろした。


頼は、笑満より先に友達になった奴だけど、こういう言い方をされてしまう奴なのだ。


そして疑われても机に伏したまま微動だにしない。神経図太いんだよなあ。


秘密を抱えてしまった私の目線は泳ぐ。