「再来年……私が卒業する前ですね……。そのあとはどうするんですか?」


「教師として呼ばれてるとこもあるんだけど、あまり行く気はないかな。学者の本業一本になるかと思う」


「そうなんですか。……あと、どうしてマナさん、先生にしたんでしょうか?」


「愛子は俺が警察に入るモンだと思ってたからな。俺らの中学や高校を決めたのも愛子だ」


「そう言えば寮があうところに放り込んだって言ってました。……俺ら? ほかにもどなたか?」
 

あ、と俺は失態に気づいた。


つい癖でそういう言い方をしてしまった。


「……同じところで育った奴が二人いるんだ。そいつらも、中学高校も俺と同じところに愛子に放り込まれた」


「その方たちには話されるんですか?」


「必要ないな。一人は警察官で、一人は探偵やってる。気になったら勝手に探ってくる」


「それはむしろマズいのでは……?」


「勝手に調べても他言することはない。二人とも、愛子のこともよく知ってる」


「先生がそう言うのならいいのですが……」


「安心していい。言ったろ? 大丈夫にするからって」
 

華取は何度も瞬いたあと、「はい」と微笑を見せた。