また自分の思考回路にツッコんでいると、俺が黙り込んだのを不審に思ったのか、華取が首を傾げた。


「? 先生? ――わっ?」
 

今度は華取が、驚いたように小さな悲鳴をあげた。


俺の手が頭に乗ったのだ。なんとはなしに動いてしまった。


……本格的に大丈夫だろうか、俺。


そんなことを考えつつも、華取の頭を撫でている。


華取は困ったように見上げてくる。


「どうしたんですか? 先生も眠いんですか?」


「いや――」
 

さっきから自分の言動に疑問符がいっぱいで、むしろ解決してほしいくらいなのだが。


……でも、せっかく、今、華取のこの距離にいるのは、俺だ。


「……お前は大丈夫だ。愛子が言っていたことで不安になったり、俺との関係で心配することはない。お前は俺が、絶対に大丈夫にするから」


「………」
 

やっと、手を離すことができた。


「じゃあ、またな」
 

あったかくして寝ろよ、最後にそう残して階段を下りた。