「せ、先生?」


「やめておけ。無駄に傷つけるな――」


「咲桜―、ごめん、洗面台で水ぶちまけた」


「なにやってんの!」
 

在義父さんの情けない声が聞こえてきて、私は火を止めてすっ飛んで行った。


敏腕と言われている在義父さんも、眠いと色々と雑だ。
 

リビングを飛び出しかけたところで振り返り、先生に言った。


「先生、あとでお時間いただけますか? 少し話したいことがあります」


「え、あ、ああ」
 

先生が肯いたのを確認して、「すぐ片付けてくるんで座って待っててください」と残してリビングを出た。