朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



にっこり、マナさんスマイル。


と、隣の部屋でどの辺りかを聞かれたようだ……。


二人の利害一致、これ以上の見合いは勘弁のあたりがしっかり組み込まれている……。


改めてマナさんのポテンシャルの高さに戦慄した。


どういう耳と行動力しているんだ。


「どうかしら?」
 

どうもこうもない。


反対しかかった私だけど、またもや先生の視線で口を閉ざした。


危ない危ない、きっと自分が何を言っても、マナさんには足元を掬われていただろうことが容易に想像できる。


ここは先生が大人の対応をしてくれるのを―――


「……それが、華取さんの恋愛に邪魔になったりはしないんだな?」
 

え? どうしてか先生はそんなことを訊いた。


「ええ。仮婚約は、ちょっとばっかし流夜くんの行動に制限かけたいだけだし。だから重くとらえなくていいわ。それに、これは咲桜ちゃんのためにもなると思うし」


「私のため、ですか?」
 

急に話を振られて、私はきょとんとする。