朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



「在義さん――言い方はおかしいかもしれませんが、愛子が勧める意味も、在義さんが断り切れない理由もわかります。と言っても、やはり教師生徒の関係ですから、婚約だの付き合うだのにはなりませんが、保護者的意味でしたら、華取さんを見守っていけたらと思います」
 

うまくまとめたなー、と感心する。


確かにこれなら断ってもいないけど、今後のマナさんの干渉を最小限に食い止められそうだ。


「あらあ、流夜くんも咲桜ちゃん気に入ったのねー」
 

マナさんは満足げな笑顔を見せる。


そういう意味ではないよマナさん。


利害一致の紳士協定だ。なんて言えないけど。


……まあ、誤解してくれるならそれはそれでいいか。


そろりと先生を見る。先生もそう思っているらしく、否定はしなかった。


「そういうわけだ、愛子。この席のことは口外無用。そんで、しばらくは華取さんの保護者になるから見合いだののたまうなよ。華取さんに対しても」
 

どういうわけだ。マナさんの前言への肯定でないことはわかるけど、総括的意味だろうか。


本当に誤魔化してきてるよ、先生。有耶無耶だよ。