「これ専用の補習でもいりますか?」


「……気を付けます」


「そうしてください」


『神宮先生』とは、それだけの会話ですれ違う。
 

なんで書き忘れるかなあ。


「咲桜、気にしなくていいと思うよ。これからは」


「? なんで?」


「だってあれ、流夜くんと逢う前のテストでしょ?」


「うん? あー、そうだね。……なんでこれからは書き忘れない、みたいに言えるの?」


「あたしが咲桜の親友だからかなー?」


「ど、どういう意味っ?」
 

泡喰った私を、笑満は「どういう意味だろうねー」と軽くあしらっていく。


そりゃあ、流夜くんが名前で呼んでくれたのは嬉しかったけど……。
 

………。
 

思わず、ちらっと振り返った。