朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



流夜くんは私を見下ろして、口元を緩めた。



「私、なんて言ったのか知りたい。お願い教えて」
 

口を開いた流夜くんを遮って、言い募った。


自分はどんな思いを流夜くんに打ち明けたのだろうか。


知らなくていけない気がした。


「………」
 

真っ直ぐに見上げていると、流夜くんは観念したように軽く息を吐いた。


「俺が、家族がいないって話した。そしたら、咲桜が「自分が家族になるから」って言ってくれた。それだけだよ」


「え……」


「な? 忘れてた方がよかっただろ」
 

流夜くんは私の頭に手を置いて、雑に掻きまわす。


私は目が点になった。


そんな……ことを⁉


「言ったの⁉」


「俺の幻聴か妄想でなければ」


「マジメな顔でそういうこと言わないで!」
 

どういう事態だ。


私が顔を紅くさせたり蒼くさせたりしていると、流夜くんは嘆息して腕を組んだ。