朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



流夜くんの応答を聞いて、笑満は私の肩に手を置いてから静かに出て行った。
 

残されて、もう泣きそうだった。


自分なにしたんだよーっ! お願い笑満戻って来て―っ! 心の中で叫びまくっていると、流夜くんの視線を感じた。


「咲桜、」


「はうっ、ごめんなさいっ!」


「いや、だから謝るのは俺の方なんだって」
 

流夜くんは椅子を立って、私の傍まで歩み寄った。


「なんでそんな顔をする」
 

色々な不安が怯えに変わっている私に、流夜くんは不思議そうな顔だ。


「だ、って……私、流夜くんが淋しくなるようなことをしたんじゃ……?」
 

その答えが意外だったのか、流夜くんは目を見開いた。


「今朝、そんな風に見えて……」
 

離れた背中が、そう見えて。


言うと、流夜くんはゆっくり喋り出した。


「そんな風に見えていたのか?」


「う、ん……」
 

私はびくつきながら肯く。


流夜くんは手を口元にあてて何か思案している。