朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



「なにしたって……」


「別に咎(とが)めるわけじゃないですよ。ただ、咲桜が憶えてなくて不安そうだったから訊きにきただけです。あたしに隠し立てするようなことがなければいいんです。あ、別にあたしに隠し立てすることがあっても、咲桜が納得するんならいいですけど」
 

ね? と微笑んで見せた笑満。


私が納得するんならいいのか。


「……わかった。咲桜に説明するから、松生は下がってもらってもいいか?」


「どこまで下がればいいですか? 教室の外? それとも自分のクラス?」
 

ここで教室の外、と答えたら、まあ盗み聞かれるんだろうな、と私もわかった。


流夜くんもそこまでは見当がついているようで、苦い顔をした。


「出来ればクラスで待っていてくれ。本鈴までには帰すから」


「あたしに隠し立てたいことをしたんですね」
 

鋭い一言に、反射的に私の肩がびくっと震えた。


ま、まさか……? 不安になる私の視線を受けてか、流夜くんは一度瞼を伏せた。


「そういうわけだ。頼まれてくれるか」


「……咲桜、頑張ってね」