華取が家に置いておくようにと作ってくれたものも出来上がった。


だが、一向に雨は弱まりを見せない。


この調子でまさか歩かせるわけにはいかないから、送って行くつもりなんだが……いかんせん外の様子が変わっていない。


むしろ荒れている。


台風の季節になるからなあ。


……一瞬、華取を帰らせないという選択肢が頭の中に灯ってしまったことは黙っていよう。


せっかくさっき、在義さんに通報しないことを承諾してもらったばかりだ。


早いとこ送って行こう――そう思ったとき、華取が「あっ」と声をあげた。


「どうした?」


「あ、笑満からライン来てたんです、警報出てるけど大丈夫? って」


「警報?」
 

華取が見せてくれたのは天気予報のアプリだった。


そこには、このあたりに大雨洪水暴風警報が発令されたと出ている。


洪水警報……。


「参ったな……。このレベルだといつも水没するよな……」