び、びっくりした……! 


私はキッチンのへりに手を突いて、心臓のあたりを押さえて呼吸を整えようと必死だった。
 

なんで今のタイミングでかはわからないけど、大きく心臓が脈打った。


今もドクドク叫んでいる。うわーっ、なんなの! 私死ぬの⁉ 
 

先生が言った言葉の意味なんて、私の保護者が在義父さんだから逆らわない方がいい、とかそういう意味だよっ。


……それでも顔が熱くなるのはなんで!
 

ちらりと後ろを見遣ると、先生は私が渡したスポーツドリンクのボトルを揺らして眺めている。


珍しいものでも見ているような感じだ。


って言うか余裕だな! 人の心臓壊しかけておいて!


「ここも遙音に聞いたのか?」


「あ、はい」
 

平静、平静、平穏無事、平安時代。


一人だけ動揺しているのを知られたくなくて、先生の方は向かずに出来るだけ落ち着いた声を出すよう心掛けた。