「あ、ああ……」
 

華取の瞳は厳しい。


未だに休む方法がわからない俺は、キッチンに近い場所で立ち尽くしているだけだった。


「今日も警察署、行くつもりなんですか?」


「行くけど」


「今日はやめてください。さっき雨降りかかってましたから、少しは自重してください」


「わかった」


「……即答していいんですか?」
 

俺が答えると、華取が目を丸くした。


「……やめておけと言っておいて何故疑問形?」


「いえ……遙音先輩が、どうせ止めても先生の行動に制限はかけらんないけど、とか言っていたので」
 

遙音。余計なことを。


「なんだろうな……華取には逆らわない方がいい気がした」
 

思ったことを言うと、華取は息を呑んだ。


「華取?」


「いえっ! わ、私、父さんに言いつけたりとかしないのでご心配なくっ!」


「……なんで在義さん?」
 

急の登場に疑問を覚えたが、華取は泡喰ったようにキッチンに飛んで行ってしまった。