「こ、こんばんは」


「………」
 

来訪者の音で自宅のドアを開けて、本日二度目の硬直をした。


目の前の、そこにいるのは華取。


「……華取?」


「すみません、いきなり」


「や、いいんだけど……どうした?」


「遙音先輩に、先生が風邪ひいたみたいって聞いて来ました」


「……え?」
 

なんとも間の抜けた声を出してしまった。


玄関先で話しているのも難だと思い、華取を部屋に入れた。


が、正直自室に華取を招き入れるなんてとんだ自殺行為だ。


既に在義さんの後ろに魔王が見えている気がする。


次在義さんに逢ったとき、俺は生きて帰ることが出来るだろうか。


……なので、早く帰さないと、という思いもあり玄関で問答する。