「バスケもってなんだよ。両方やんのか? なあ、咲桜」


「両方出来るように旭葵くんがプログラム考えてくれたら、出来るよ」


「無茶言うなよ」
 

そんな会話が聞こえてくる。


こちらは完璧に硬直してしまった。


気合いで打破したけど。


……華取と弥栄って、あんなに仲良かったのか……。
 

弥栄が生徒に対してフレンドリーなのは知っている。


けれど、華取が弥栄に懐いている様子が……どうにも。
 

気分が悪い。
 

あ、今度は脳と口が連動しそうだった。


いや待て。今のはむしろ言っちゃ駄目だろう、立場的に。
 

仕事場にこんな私情を持ち込むなと首を横に振った。
 

振り切るように視線を室内に向けた。


まだ、華取の楽しそうな声は聞こえてくる。
 

……切り替えは出来たけど、納得は出来なかった。
 

どこか頭の奥が熱い。視界も若干ぼやけるように感じるし――とにかく、弥栄に懐く華取を見て、どことなく調子が悪かった。