朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



「デフォはこっちだ。学校では問題がないように振る舞っているだけだ」


「なんでですか?」
 

私の率直な問いかけに、神宮先生は困ってしまったようだ。


少しだけ、目線をうろうろさせた。


「……個人的な事情だ。別に悪いことはないだろう?」
 

個人的な事情で学校では問題がないように振る舞っている? うーん? まあ、悪いことはないと思うけど、もったいないとは思う。


「在義父さんとは知り合いなんですか?」
 

私は質問を重ねる。


先生は、なんと説明しようか考えているように視線がさまよう。


「……俺は、本業学者という扱いになっている。警察の現場に出ることもあるし、専門家として協力することもある。その関係での知り合いだと思ってくれ」


「学者?」


「犯罪学者」


「………」

 
私は思わず首を傾げた。


神宮先生の言葉が理解し切れなかった……。


先生って、先生じゃないの? 私の脳が先生の言葉を噛み砕けていないのを察してか、先生は早口で続けた。