朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



「先生って、本当に先生なんですね」


「……は?」
 

どういう意味だ?


「いえ、深夜徘徊みたいなことしてるのに理由聞いたら怒らないし、心配して送ってくれるって言うし。先生みたいな人がいるから、頑張れる子っているんですよね、きっと」
 

大分違う。
 

確かに藤城にだってそういう教師もいるけれど、俺はそんなタイプではない。


深夜徘徊を見つけたら教師として即捕縛するし、なにかあって送るようなことがあってもここまで食い下がらない。


でも、華取には自分でないと駄目だ。


……いい方向に誤解してくれているみたいだが、何故か気分はよくない。


「……言っただろう、俺が大丈夫にするからと」
 

同じ言葉を、華取に言った。


あのときは、深い意味などなくて。
 

今は、底の見えない意味があって、自分でも読み切れていなかった。


「えと……じゃあ、お願いします……」
 

華取が頭を下げた。