朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



「車で来てるんだ。もう遅いから送っていく」


「いや、先生も用事があって来たんじゃないんですか?」
 

まだ署内にも入っていないですよ? 華取の顔がそう問うようで、俺は素っ気なく返す。


「今日は吹雪について来ただけだ。もう用も終わったから、問題ない」


「そう、なんですか?」
 

どうしたものかと、華取を困らせてしまったみたいだ。


そんな中、吹雪が口を挟んだ。


「降渡はどうするの? 一緒に来たんでしょ?」


「あいつはどうせこれから仕事だ。歩かせればいい」
 

俺はいつも通りだけど、華取は困った顔をした。


他人に関心がなさすぎる、とはよく言われる評価だ。


「それは申し訳ないですよ」


「なにも遠慮することはない」


「遠慮しますよ。お友達もいるんでしょう?」


「時間潰しに龍さんのとこを使う様なヤツだ。気にすることない」


「先生そんな言い方……龍さんのとこ、って、《白》ですか?」
 

華取がそこに反応した。