朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



こみあげるものが確かにあって、顔をあげて口元に手の甲をあてた。


そうでもしないと何か――言ってしまいそうだった。


どうして俺たちに黙っていたんだと、龍さんに怒鳴りつけてしまいそうだった。


そんなことしたら絶対に沈められるけど。


「吹雪、気が済んだらてめえの分だけ持って出ろ」


「はーい」
 

龍さんが話している間――俺が物思いにふけっている間に、一つ紅茶を作った吹雪は大人しく元いた席に戻った。
 

降渡が問いかける。


「……なあ、ふゆ。さっきの話、お前はいつ知ったんだ?」