朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】



「お前の後継者だろうってスゴまれてよ。いや驚いた。あいつもあんな親みてーなキレ方出来るんだな」
 

心の底から感心している風情の龍さんに、俺は冷や汗をかいていた。


在義さん、一昨日のあの場では納得したような風だったが、やはり完全に手放しで受け入れたわけではないようだ。


そしてキレられていたのか……? ショックだった。


「……ん? 親みてーなって?」
 

降渡がそう訊き返していた。


衝撃で一時停止してしまったが、俺も同じことを疑問に思っていた。


母親が亡くなっているとはいえ、在義さんが父なのだろうに。


「ん? ああ、お前ら知らねーか。あいつも言わねーもんな」
 

頭をかいてバツの悪そうな顔をする龍さん。
 

また、猫の鈴が鳴った。


「ふゆー、こっちー」