朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】




駐車スペースは三台ほどの駐車場に停まった。


喫茶店《白(シロ)》の駐車場だ。
 

街角の喫茶店は、カウンター席が九つと、テーブル席が五つ。


扉には猫の首輪についているような形の、大振りの鈴がある。


鳴ると奥の方からガタイのいい強面で壮年の男性が出てきた。


時間も遅いからか、他に客はいなかった。


「おう、来たのか」


「久しぶりー、龍さん」


「降渡に連れて来られた。なにかあったの?」
 

降渡が先を歩いて、一番奥まったカウンター席につく。


店主・二宮龍生(にのみや りゅうせい)さんはカウンターの中。


元ノンキャリ刑事の、現ここの店主だ。


「なにかあったじゃねえよ。お前、在義の娘と婚約したんだって?」


「!」
 

ガクン、とカウンターについていた肘が折れた。


……なんで知っている。


俺は顔をあげられないまま問う。


「……龍さん、どこでそれを……」


「在義が絡んできた」
 

龍さんはさらっと言った。


まさかの在義さん発信源だと⁉ 


なんか、裏切られた気分になった。