「お嬢様」
「は、はいっ……!」
学校から今までの会話は先程の一言のみ。
話しかけられたことに驚いて思わず声が裏返ってしまう。
「お嬢様らしくもありませんね。いつも私の傍におられる時はいつも強気でいらっしゃいますのに」
「そっ、それは……っ」
黒木さんの雰囲気がいつもと違う、から……
夕日が差し込む部屋の中は、徐々に暗くなり始めていく。
その中で黒木さんの瞳が妖しく光って。
クールな佇まいは、まるで夜を連想させるほど、妖艶。
座る私の前にいつも通り立っているだけなのに、ゾクッとするくらいの色気が感じられる。
「お嬢様」
私の前に跪いたと同時に、一段と低くなったその声と。
「く、黒木さん……?」
太ももの上にあった私の両手を包むように握られる。
「転校初日の学校はどうでしたか?」
え。
こんだけ溜めといての質問が……まず、それ?
怒っているように見えたからちょっと拍子抜け。
それに、なんなんだろう……
この手は……



