お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「うわぁ、すげーな」


驚くのも無理はない。

その人の多さは、朝に増して何倍もある。


だって、朝のように駐車場じゃなくて、エントランスの目の前にリムジンがあるんだもん。


なんでここに停めてるの。


これじゃ、また目立っちゃうじゃない!!


何よりも、リムジンに背を預けて立っている黒木さんが、話しかけられても全てスルーってのがまた。


これが、紗姫の言ってた外での黒木さんの姿ってやつね……


ほんと、勘弁して。


このまま走って帰ろうかなんて考えた時、黒木さんとバチッと目が合う。


うわ、最悪。


途端に早足でこっちへ向かってくる。


「え、な、なに……っ」


なんかとてつもない黒いオーラを感じるんですけど!?


「なんか黒木怒ってね?」

「うん、一体どうし……っきゃあっ!?」


耳元で紗姫が呟いた瞬間。


「くっ、黒木さん!?」


「きゃーーーー!!」

「黒木様あぁぁぁーーー!!」


「私もしてぇぇぇー!!」


またもやされたお姫様抱っこ。


「はっはーん、なるほどな」


なんて他人事みたいにニヤニヤ笑う紗姫は、見ているだけで助けてくれない。


さきぃぃぃぃーーーっ!!


「おかえりなさいませお嬢様。
さ、行きますよ」


「はい!?」


なんかめちゃくちゃ早口だったんですけど!?


未だ状況を掴めず目を白黒させる私をリムジンに乗せ、無言で発進した。