「美都がこの学校の偏差値低そうって言ってたけど、それはほんと。うちの高校、マジで底辺だから。金持ちなやつらが遊びに来てるような学校だし」
「やっぱりそうなんだ。
って、バッチリ私の声聞こえてたのね?」
手巻き寿司を口に入れようとして、ピタッと止まる。
「そりゃあ、あそこまで大きい声で言ってたら聞こえるって。まあ、安心しろよ。俺にしか聞こえてなかったっぽいし」
そう言って、ニヤリと微笑む紗姫。
「ぐっ……!!」
様になりすぎたその姿に、情けなくも言葉に詰まってしまう。
「けど、大学だけは別モノ。日本中でも知らない人はいないほどの難関校だし、そこを出た人は将来は約束されたと言っても過言ではないらしい」
「へ、へぇ……」
「それに、大学の方は家柄とか関係ないし。そりゃあ、同じ系列だから金持ちな家の人もいるけど、どっちかって言うと一般家庭の生徒が多いな。黒木もそうだって聞いた」
あの容姿に、天才的な頭脳まで……
天は二物を与えずって言葉があるけど、本当にいるんだ完璧な人って。
加えてあの性格でしょ?
弱点なんて、無いんじゃないの?
「で、隣が金持ちの通う高校ってことで、黒木みたいに、財閥の家のおぼっちゃまやお嬢様につく執事をバイトとしてる人が多いんだよ。黒木の場合は、ものすごいイケメンが大学にいるって、お嬢様たちの間で戦争が起きたらしいよ」
「は?戦争?」
「そ。あの容姿と頭の良さ。そりゃあ、どのお嬢様も執事として欲しいし、自分のものにしたいわけで。だから、今まで数え切れないくらいのお嬢様たちが、こぞって黒木をスカウトした」
「芸能人かよっ!!!」
「それな」
一家の執事がどうしてあんなに騒がれてるのかと気にはなってたけど、そういう理由だったって訳ね。
学校中で話題にされて、数え切れないほどのスカウト。
ここまで来ると、さすがに黒木さんが不憫に思えてきたわ……



