お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「わ、分かった」



てっきり女の子が恋愛対象になるかと思ったけど、どうやら全く興味がないみたい。



「だから美都も俺のこと、紗姫って呼んでくれていいよ」


「分かった。
じゃあ、改めて……紗姫、よろしくね」


「おう!
よろしくな!」



ギュッと手を握って、ニッと笑う紗姫。


話しやすいと思ったのは、嘘じゃなかった。


改めてこうやって話してると落ち着くし、なんだか頼れるお姉ちゃんができたみたい。


ふふっ、嬉しいなぁ……


クラスの皆はお金持ちオーラがぷんぷんで息苦しかったのに、紗姫は全くそんなことない。


にしても……



笑った顔、めちゃくちゃ可愛い。

それはもう、可愛いよ、うん。


女子相手なのにキュンとしちゃったよ、私。


ほんと、クールで全力で笑わない黒木さんとは正反対。


まあ、満面の笑みの時もあるけど、だいたいそれって悪いこと考えてる時だし。


まあ、そもそも男性の黒木さんと、可愛い紗姫を比べても仕方ないんだけど。


「お〜い、美都ー
帰っておいでー」


「ご、ごめんっ!!
で、なに?」


いかんいかん。

ぼーっとしちゃってた。


「美都ってさー、あの皇(スメラギ)財閥のお嬢様なんだね」


「皇財閥?」


頬杖をついてこちらを見る紗姫に、私は目をぱちぱちする。


おや?

急に聞いたことない名前が出てきたぞ?