お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「八神くん。
私こんなにいっぱい食べれないし、良かったら少し食べて?」


いただきますと言った同時に、もりもりと口いっぱいに詰め込み、リスみたいになっている八神くん。

ふふっ、可愛いな〜


「えっ、いいのか!?」


「もちろん。私だけじゃ食べきれないし、残すなんてこと、作ってくれた人に申し訳ないしね」


そう言うと、目を輝かせて八神くんはぶんぶん頷く。


「ん〜おいしいーーっ!!」


何度もそう言ってはほっぺに手を当てて、幸せと言わんばかりに笑う。


それはもう、見てるこっちが幸せな気持ちになるくらいの笑顔。


なんだろう。

なんか……


八神くんって……


「あんまり男子っぽくないね」



途端に八神くんは食べていた箸を止めて、きょとんとする。


「話しやすいし、名前も紗姫って女の子っぽいし……」


「…………」


あれ?


「あっ、ご、ごめん!!
男子なのにそんなこと言われても嫌なだけだよね!」


黙ってしまった八神くんに慌てて手を振って弁解すると、返ってきたのは驚きの言葉だった。


「俺、女だけど」


「へ?」


「だから、正真正銘、俺は女。美都の言う通り、紗姫って名前も女で間違ってねーよ」


「えっ……ええっ!?」



女の子ぉぉぉぉーーー!?


どっからどう見ても男の子なんですけどーーっ!?