お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「うわぁ、気持ちいい場所……」


「だろ?
俺のお気に入りの場所」



二ヒヒと笑って、八神くんは腰を下ろす。


オシャレなカフェの、テラス席にでもある様なアンティークの椅子とテーブル。


大きな木の下にあることと、近くに噴水があることも相まって、まだまだ暑いこの季節なのに、とっても快適。


同じテーブル席が周りにいくつかあるけど、チラホラと散らばっているようで、人の声もほとんど聞こえない。


「よし、じゃあ食うか!!」


「そうだね」



結局一緒に食べることになってるし……



まあ、いいか。


せっかく作ってもらったお弁当だし、1人で食べてても美味しくないだろうし。


文句を言いつつも、少しワクワクしてお弁当の蓋を開ける。


お弁当って、何が入ってるか分かんないから、こういう楽しみがあるからいいよね!


と、思ってたはいたんだけど……



「…………」



なにこれ。


高級な料亭で出てくるようなそのバリエーションに、思わず頬が引き攣る。



伊勢エビに、色とりどりの手巻き寿司。

ビフテキや、ホタテなどの海鮮の炒め物。



これ、もはやお弁当の域超えてるよね?


やけに重いし、大きいとは思ってたけど、ここまでとは……


お金持ちの世界って、こんな所まで違うのね……



「お嬢様のためにと、料理長が腕によりをかけて……」


とかうんたらかんたら黒木さんが言っていたけど、なんか見てるだけでお腹いっぱいになりそう……