お嬢様、今夜も溺愛いたします。



バッと声をした方へ振り返ると、爆笑しながらこっちを見る、中性的な顔立ちの可愛い男子生徒。


どうやら私の席の近くではないらしく、辺りを見回すと、人がいなくなった前の席に腰を下ろす。


「声、ダダ漏れだったよ?」



あ〜面白いなんて言って、またお腹を抱えて爆笑し出す。


な、なんだこの人……



初対面なのに、失礼な!!


めちゃくちゃ可愛いからって、なんでも許されると思うなよ!!


てか、どんだけ笑ってるのよ!!


ムッとして睨めば、目の前の男子は笑いながらも目元を拭いながら自己紹介。


「ああ、ごめんごめん。
俺の名前は八神 紗姫(ヤガミ サキ)。
よろしくな」


「八神、くん……
私の名前は……」


「美都、だろ?」


えっ!?


初対面でまさかの呼び捨て!!?


驚き固まる私に、八神くんはニコニコ笑うだけ。



さ、さすがお金持ち……

女の子の扱いにも慣れている模様。


男子に呼び捨てされることなんて、元カレ以外はなかったから、なんだか変な感じ……


キーンコーンカーンコーン。


と、ちょうどチャイムが鳴る。



あっ、チャイムの音は普通なんだ。


てっきり優雅なクラシックでも流れてくるかと思った……


「じゃあ、美都。
また後で」


そう言うと、ニッと口角を上げ、手を振って去っていく八神くん。



なんか不思議な感じ……


同い年の男子と話すのは本当に久しぶりなのに、話しにくい印象は全くなくて。


むしろ、話しやすいかも……?


そういや、男子と言えば、黒木さん。

あの人って、何歳なんだろ?


見たところ確実に私よりは年上みたいだし、高校生にも見えない。

って。



ん?


また後で?