「では、改めまして」


口角を上げると、ぐわっと前髪をかきあげ私を見つめる。


「今の時間は……恋人、ですから。
私ではなく、“ 俺 ” で」


その姿のなんとも艶っぽいことか。

暗い部屋で月明かりの下、甘い中にも燃えるほどの獰猛さと欲情に濡れた瞳が、とんでもない色気を放っている。


「散々焦らされた上に、愛しい彼女にここまで言われて、たぶん一回じゃ終わらない」


そして私の着ていたブラウスのボタンを外すと、胸元に顔を沈めた。


「……んっ…やっ」


感じたことのないほどの刺激に体を震わせると、耳元でクスッと笑う十夜さんの声が聞こえた。


「ほんと可愛い。
最高」


「とうや、さん……っ」


ぼーっとする頭の中手を伸ばすと、ぎゅっと手を絡められてシーツに押しつけられる。


「好き、大好きだよ美都。
この先もこれから一生」


どこまでも甘く、体の奥底が震えるほど優しい声。



「─────お嬢様、今夜は××いたしましょう」



私はこの溺愛執事にはかなわない。



Fin⋆°。✩