「美都、聞かせて?」
「えっ?」
「この間聞きそびれた、私は十夜さんのことが……っていうやつ」
「あっ、そっ、それは……っ」
ずっと泣いていたのに、途端にボンッと顔が赤くなってあわあわし出す美都。
ああ、ほんとにかわいい。
病院だということを忘れて今にも襲いたい衝動に駆られるのをぐっと我慢する。
「な、聞かせて?」
涙に濡れた目元をそっと拭えばピクっと身体を震わせる美都。
理性がバラバラと崩れる音が頭の中で響く。
「今もあの時も……」
「うん」
「私はずっと、」
「うん」
「十夜さんのことが、好き……っ」
ずっとずっと待ち望んだその言葉。
10年越しに叶った、美都の隣に立つという夢。
あまりに嬉しすぎて、たまらなくて。
さすがの俺も涙が出そうなくらい、幸せで。
「うん、俺も。
─────愛していますよ、お嬢様」
世界一大好きで可愛い俺だけのお嬢様に。
嬉し涙を堪えるように、10年越しの思いをすべてぶつけるように。
とびっきりの甘いキスを落とした。