容姿云々よりも、俺がおはようって挨拶する度に嬉しそうに笑って。
最初は一言だけの返事だったものが、いつしか会話も増えていって。
その度に美都の目は心から嬉しいと思って輝いているように見えて。
容姿よりも、俺と話すことが楽しい。
その気持ちが笑顔となって零れて、気づけば俺は心臓を鷲掴みされたかのようにドキドキしていた。
「美都はさ、俺の見た目がかっこいいとは思わないの?」
ある時聞いてみたことがある。
出会ってから一度も容姿について言われたことがなかった。
学校にいる大半の女子の第一声が
「十夜くんて、かっこいいね!」だったから。
必死に折り紙をする姿も可愛いと思いながら、ずっと気になっていたことを口にした。
「うーん……かっこいいとは思うけど、それ以上に優しいところがいいと思う!」
「俺が、優しい……?」
思わぬ返答にぽかんとしていると、美都はふふふっと頬を赤く染めてとびっきりの笑顔で笑った。
「うん!私と遊んでくれるし、何よりもお花のお水、ちゃんと替えてくれてること知ってるから!」
その瞬間からだった。
俺が美都を好きだと自覚したのは。



