お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「十夜くんは確かに見た目かっこいいけど、それ以上に、いつも弱音を吐かないで、病気と闘って頑張って治療してるところが、私は1番かっこいいと思うよ」


そう言ってくれた。


そんなある日、美都と出会った。


正直美里さんの娘だと言っても、この子も他の女子と同じだろうと思っていた。


「黒木 十夜くん。美都の4つ年上で6年生なのよ」


俺を紹介する美里さんの足元で恥ずかしそうに挨拶する女の子。


ああ、この子もきっと。

かっこいい、それだけを言うんだろうなって。


先が予想できて、ふいっと視線を逸らした時。


「とうや?って、どういう字書くの?」


「……漢字?」


「うんっ!」



「十に、夜、だけど……」


「綺麗な名前だね!
よるくんって、呼んでもいい?」


「……いい、よ」


「やった!」


俺を見た時の美都の一番の感想は、それだった。