【十夜side】
「おはよう十夜くん!
今日は調子、どうかな?」
俺の担当看護師。
それが美都の母、美里さんだった。
生まれつき心臓が弱かった俺は、小さい頃から入退院を繰り返していて。
なんとか小学校は行っていたけど、休みがちだったこともあってクラスの人とはほとんど話したことはなかった。
なのに。
「十夜くんて、すごくかっこいいね!」
小6にして俺は既に自分の容姿が人並み以上に整っていることを分かっていた。
たまに行く学校で、話したこともない、名前もクラスも分からない何人もの女子から告白された。
行く度に呼び出され、告白される。
話したこともないのに、内面なんか知るはずがない。
どうせ容姿しか見てないくせに。
そう言えば相手は、そんなひどい性格だなんて思わなかった、それだけ言って去っていく。
女なんてみんな一緒。
ずっとそう思ってたけど、美里さんだけは違った。



