お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「来週、手術するんだ」

「手術?」


「そう。俺、ここが弱くて」


よるくんが入院していた原因は心臓の病気。


詳しくは分からなかったけど、生まれつき人よりも弱いんだって言ってた。


「この手術が成功したら、俺も好きなように走ったりできる。だから、頑張るよ」


「うんっ!」


「美都も、応援してくれる?」


「もちろんだよ!」


私はお守りにと、白のガーベラを押し花にしてよるくんに渡した。


「白のガーベラは“ 希望 ”だよ!
絶対にうまくいく!
応援してるから!」


「ありがとう、大事にする。
頑張ってくるね」


「うんっ!」


だけどその後、よるくんを見ることは一度もなくて。


前にお母さんに、昨日まで使われていたベッドが今日になって急に空いていることを聞いたことがある。


「その人はね、もうお空の上。
遠くへ旅立っていったんだよ」


その時に知ったんだ。


ベッドに空きができたということは、よるくんはもう遠くの世界、私じゃ手の届かないところに行ってしまったんだって。