「おいおい、泣かせるなよ十夜ー」

「ったく、心配して損したっつーの」


ヤレヤレと立ち上がった二人だったけれど、とても穏やかな表情で笑っていた。


「あとは俺に任せろ。
念の為、二人を連れてお前も病院行け」


「はいはい」


「えっ、俺も?」


「はい。
もしあなたに何かあったら、界が黙ってないと思いますので」


するとちょうど外にリムジンが来たらしく、私は横抱きにされて乗せられる。


「もう大丈夫ですよお嬢様。
あとは一色に、というより旦那様に任せておけば問題ありませんから」


「ど、どうしてここでおじいちゃんが……」


「今回の件は逐一報告していたのですが、もしお嬢様に何かあった場合は黙ってないと」


「うわぁ、それかんっぜんにやばいやつじゃん……」


ドン引きする紗姫の横で、珍しく十夜さんも苦笑した。


「きっと一生刑務所暮らしだと思いますよ。
皇財閥のお嬢様に手を上げることは、旦那様の怒りを買うことと同じですから」


リムジンが発車してすぐ、パトカーや一色さんの部下の人も集まっているのが見えた。



「やっと……やっと終わりましたね、お嬢様」


「はい……っ」


リムジンから見えた空には、数えきれないほど眩い星がいくつも輝いていた。