「……ったく、まじで危ない」
刺さっていたはさみを背中から抜き、上着を脱ぎ捨てる十夜さん。
「えっ、なっ、なんで……っ」
泣き続けていた私の目の前で、何やら分厚い鉄鋼のようなものを脱いだ十夜さん。
「はぁ、あっつ。
これ、重すぎだろ」
「しょうがねえだろ?
いくら防刃チョッキとはいえ、より高性能に作られた特別ものなんだから」
いててと背中をさする十夜さんの後ろを見て、絶句する。
「血が出てない……」
「驚かせてしまって申し訳ありませんでした、お嬢様。これは全部、演技です」
「演技……?」
未だ状況を掴めなくてアタフタする私に、二人は一つずつ話してくれた。