お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「なんて。冗談ですよ」


「っ〜!!」


だから、いちいち耳元で囁かないで!!


うろたえる私を見下ろし、不敵な笑みでクスッと笑う黒木さん。


やばい。


顔が熱い。


いくらイケメンだからって、初対面の相手にこんなに動揺するな私!!


「そうやって、俺に言われる言葉1つ1つに顔を赤くして。私を萌え殺しにさせるおつもりですか?」


「え!?」


なんか、色々聞き捨てならないワードが聞こえた気がするけど……


今、一瞬“ 俺 ”って言わなかった?


ずっと“ 私 ”って言ってたのに。



「い、意味が分かりません。
とりあえず、あなたに甘えるつもりはないですし、あなたなしでも私は生きていけます」



そんな風に私はならない。


てか、甘えるなんて可愛いこと、私には一生かかってもできません!!


それよりこの手、早く離して!!


キッ!と睨みつけるように見つめれば、黒木さんは一瞬目を細めたかと思うと、渋々退いてベッドから降りる。