「お呼びでしょうか、お客様」
困っていた従業員の人に声をかけて下がってもらう。
「やっと来た。
待ちくたびれたよ」
私がいるレジ前のカウンターに両腕をつき、にこっと笑う。
「まさか美都があの世界的にも有名な皇財閥のお嬢様だったなんて。美都が転校してった後でそれ聞いてびっくりしたよ」
「用件は」
「あの時他の女なんか見ないで、泣いてる美都のそばにいれば良かったなーって」
「用件はなんですか」
聞きたくもない話をペラペラ喋るこの男。
付き合ってた時もそうだった。
私の話よりも、自分の話ばかりする。
話すのがそんなに得意じゃないバカな私は、相性がいいなんて吐き気がするほど甘ったるいことを考えてた。
今になってみれば、脳内が相当お花畑だったんだなって。



