「一色さん」
「はい」
「私をあの男のところへ、連れて行ってくれませんか」
「お嬢様っ!!」
「美都っ!」
焦る十夜さんと紗姫の声が聞こえたけれど、私は落ちつかせるように言葉を紡ぐ。
「これは私の責任。
両親の遺してくれた、そして十夜さんがまた立ち上げてくれたこのお店を荒らされたくない」
「お嬢様……」
「話なら私がします。
あの男は私が行かない限り帰らないだろうし、お店に居座り続ける。足を運んでくれるお客さんに迷惑はかけたくない」
「でも、お嬢様っ……!」
顔を歪めて必死にとめようとしてくれる十夜さん。
でもこれは私のまいた種。
自分で片づけなきゃ。
「大丈夫ですよ十夜さん。
ただ、話をするだけですから。
でももし……もし万が一なにかあった時はお願いします、一色さん」
「お嬢様っ!」
「美都っ!」
「美都ちゃんっ!」
とめるみんなの声が聞こえたけれど、ぎゅっと唇を噛みしめてお店に向かう。
大丈夫。
きっと大丈夫だから。



