お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「あんなクソ男がお嬢様にさわるなど言語道断。しかも可愛げがないから別れる?体が目的?ふざけんな」


「とっ、十夜さん……?」


吐き捨てるように言った十夜さんはまた私をすっぼり頭から覆うように抱きしめた。


「同情することさえも吐き気がしますが、一つだけ言えるとすれば、可哀想なやつってことですね」


「可哀想?」


「ええ。
こんなに愛らしくて可愛いお嬢様など、この世に1人としておりませんのに。ほんっと無駄なことをしましたよねぇ。バカなやつです」


「っ、」


「こんなこと言ったらあれですけど、あの男と別れてくれて本当に良かったです。お嬢様のすべてを奪われるなど、私きっとあいつを殺していたと思いますし」


「えっ!?」


「お嬢様の心も体も未来も。すべてをもらい、独占するのはこの先一生私だけです。お嬢様の隣にいるのは私以外ありえません」


「十夜さん……っ」


また涙が出そうになって、声が震える。


「大丈夫ですよ、私がそばにいます」


トントンと背中を優しくあやされて。

あたたかくて優しいその声が、ぬくもりが、匂いが十夜さんのすべてが安心する材料になって。



あ……


ストンと心の中でなにかが落ちた。


私、十夜さんのことが好き。

大好き。


自覚した瞬間。


コップの水があふれたかのように、体の奥底からグワッと愛おしい気持ちが込み上げてくる。


「あのっ、十夜さん……」


「ん?」


「私、わたしは……っ」


一つ一つ言葉を紡ごうとする私に、十夜さんは頷いて待ってくれている。


「私は、十夜さんのことが──────」


すき。


そう、言いかけた時だった。


ブブブブッ。

十夜さんのスマホに着信が入った。