お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「……えーと、答えなきゃだめですか」


「はい。
答えてくれるまでこのままですよ」


気になる、そう言わんばかりの目でベッドに乗り上げ抱きしめてくる。


「お嬢様」


鼓膜が震えるほど、低くて甘い声。

朝からこんなに色気出されて、私はすぐにキャパオーバーになってしまう。


「お答え、いただけますね?」


「別れた原因を聞いたのなら分かると思うんですけど……キス、までです」


「キスまで?」


「はい。
彼は……元彼は、私の体が目的だったようで、何度も無理やり迫られてました」


「……では、逆にいえばキス以上のことはされていないということですね」


「まあ、はい……
そういうことになりますね」


ゆっくりゆっくり体を離した十夜さんの瞳がゆらゆらと切なげに揺れていた。


「良かった……っ」


「えっ?」


「本当に良かったです……っ」


「っ……」