お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「もう!
こんな時間になっちゃったじゃないですかっ!」


「お嬢様が可愛すぎるせいです」


「開き直らないで下さいっ!」


ムッと顔を上げると、十夜さんはなぜか嬉しそうに笑うだけ。


「さっき私がエロいとかなんとかって話をされてましたけど、それはお嬢様も十分ですからね?」


「はっ?」


「まだお嬢様の心が完全に私の方へ向いているわけではないのに、とまらなくなるところでしたから」


「っ〜!!」


よくもまあ、そんな恥ずかしいことをスラスラと。


真っ赤な顔でキッと睨んでも、優しい顔でぎゅっと手を握られるだけ。


「はいはい、申し訳ありませんでした。
では何かお嬢様の大好きな抹茶クレープでも買っいにいきますかね」


「……それなら許してあげなくもないですけど」


「ふっ、ほんとにかわいい」


ここに来たのは午前中なのに、とっくに昼も過ぎている。

どれだけあの教室にいたんだか。



「休憩時間、とっくに終わってるんじゃないですか」と心配したけれど、「一色たちがいるので大丈夫です」と軽く流された。