お嬢様、今夜も溺愛いたします。


外で並んでいた女の子たちを差し置く罪悪感に苛まれつつも、ささっと中に入る私たち。


「うわぁ、すごいっ……」


「やばっ!」


紗姫も隣で感嘆の声を上げている。

それもそう。

普通の教室とは思えないほど、まるでどこかのお屋敷の中にでも来たと錯覚するほど綿密に造られた内装。


壁には絵が掛けられ、床にはレッドカーペット。

高級そうなソファーやランプ、テーブルもいくつも置かれている。


なんだか応接間みたい。


「ここにいるのは財閥のご子息に仕える者たちばかりです。日頃のお礼として、財閥や会社から貸していただいたものがほとんどなんですよ」


なるほど。

だからここまで本格的な造りにできるわけね。


「早速ですが、何か飲まれます?」


「そうね!
紗姫ちゃんも何がいいかしら?」


「じゃあ、アイスティーをお願いします」

「俺も同じの」


「かしこまりました」

「とっておきの作るわね!」


恭しく礼をして十夜さんと界さんは去っていく。