お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「なんだか困らせちゃったかしら?」


「あっいえいえ!
そんな!」


眉を下げて切なげに微笑む佐藤さんに慌ててお礼を伝える。


「むしろ、感謝しています。大事なことを思い出せた気がするので」


まだ完全に、明確ではないけれど。

ふと記憶の断片が頭をよぎった気がしたから。


「なら、良かったわ。
前みたいにこのガーベラ、プレゼント用にお願いできるかしら?」


「はい、もちろんです」


いらない部分を切って、他の季節の花も一緒に給水スポンジに生けていく。

それを袋で包み、最後にくるくるっとリボンを巻きつける。


「完成しました」


「あら素敵!!
さすが圭人さんに教えてもらっていただけのことはあるわね!」

「ふふっ、喜んでいただけて恐縮です」


白のガーベラをメインにしたけれど、所々にピンクのガーベラも入れて華やかに。

自分的にも満足のいくものができた気がする。