「皇家の執事になった時から十夜も誘ってるんだけど、一向に入ってくれなくてね」
「当たり前だろ。
そんなのに入るくらいなら、俺は美都との時間を選ぶ」
吐き捨てるように言った言葉だけど、私は内心嬉しくてきゅんとする。
「はいはい、それは分かってるよ。
サークルの皆もそれが分かってるから、当日だけって言ってるんじゃん」
「………」
とうとう無視を決め込んだ十夜さん。
その姿にため息をついた月菜さんは再び口を開いた。
「そのサークルの出し物でね、今年は外部の人にもそれを味わってもらおうってことで、執事メイド喫茶をすることにしたの」
「な、なるほど……」
星水学園高校の生徒ならそれが日常だけど、私が以前通っていた高校の生徒なら普通はありえない。
そういう人たちにも執事やメイドがいる気分を味わってもらおうってことか。
「それでね、サークルにも入らない代わりと、それに向けての準備もしなくていい代わりに、その学園祭当日だけは執事として参加してくれないかってお願いしてたのよ」
「そうだったんですか」
「いくら他の人が頼んでも拒否するから、とうとう妹である私が召喚されたってわけ。ねぇ、お願い十夜」
「………」



