お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「あっ!
もしかして、あなたが十夜のお嬢様の、村上美都ちゃん?」


「はっ、はい!
そうですけど……」


頷くと急に目をキラキラさせて、次は私に抱きついてきた。


「やだっ!
超かわいいっ!持って帰りたい〜っ!!」


「あっ、あのっ……」


「ねぇ、私のお嬢様にならない?
私も別の家でメイドしてるからさ!」


「えっ?えっ!?」


激しいテンションについていけず、目を白黒させていると。


ベリっと横から引き剥がされた。


「だめに決まってんだろ。
美都は俺の。
いくら月菜でも渡さない」


「えぇ〜!!
別にいいじゃん!!」


なんだか界さんとタイプが似てる?


「あの、月菜さん?は十夜さんとはどういった関係で……」


見たところ十夜さんは外で見る態度で接してないし、なにより名前呼び。


「妹だよ!」


「えっ?」


「お嬢様。
月菜は私の妹でございます」



「ええっ……
ええっーーーっ!?」


ぐっと親指を突きだし、とびっきりの笑顔を向けてくる月菜さんの横で、十夜さんはヤレヤレとため息をついていた。