「大丈夫ですよ、お嬢様。
今日は火曜日ですけど祝日ですから」


「えっ!?」


「今日は星詠学園の創立記念日。もし学校があるのでしたら、メイドや他の執事が起こしにきますから」


「そっ、そうでしたか……
なんかすみません、お疲れのところ……」


なのに私ってば勘違いして、慌てて起こそうとして、申し訳ないことをしてしまった。


「構いませんよ、別に。
せっかくの休みですのに、お嬢様と過ごす時間が減ってしまうのはいやですから」


まだ寝起きでとろんとした顔なのに、私を見つめる目だけは特別優しくて。


また胸がきゅんと高鳴った。


「おはようございます、お嬢様」


クンっと腕を引かれて、私は十夜さんの腕の中にすっぽり収まる。


「お、おはようございます……」


再び昨日のことが頭をよぎって、声が次第に小さくなる。


「すみません、昨日あのまま寝てしまったようで。なんだかお嬢様と離れがたくてつい……」


「い、いえ気にしないでください……」


「昨日のお嬢様、本当に可愛いかったですよ。
すみません、私もタガが外れたかのように襲ってしまって」


謝られてるはずなのに、まったくそう聞こえないのはなぜだろうか。


昨日と変わらず、十夜さんの雰囲気は本当に甘くて。