「はぁっ、疲れた……」
無事お屋敷へと帰ってきた私は、夜ご飯を食べてベッドへだいぶした。
「どうでした?
お久しぶりの花屋でのお仕事は」
枕に顔をうずめる私のすぐそばで、あたたかい紅茶を入れている十夜さん。
「父をお手伝いしていた時のことが蘇ってきて、なんだか懐かしくなりました。それにやっぱりいいですね、大好きなお花に囲まれるのは。心が落ちつきます」
心安らぐ花々の香り。
一時はお客さんが多くて大変だったけれど、とても充実した時間だった。
最初は苦戦してた紗姫も、最後の方には笑顔を見せていたし。
全部、十夜さんがお店をまた開こうと言ってくれたおかげだ。
「十夜さん」
「ん?」
体を起こして、十夜さんを見つめる。
「本当に、ありがとうございます」
そして紅茶を受け取り、ふーふーと熱を冷ましながら口づける。
「あったかい……」
最近徐々に寒くなってきている。
秋が過ぎて冬が近づく気配。
夜も一段と冷え込むようになってきて、あたたかいダージリンの紅茶が疲れた体に染み渡る。
「おいしいですね、この紅茶」
それにいい香り……
両手でティーカップを持って、スンスンと鼻を近づけていると。
「お嬢様」
すぐそばで聞こえた低音にビクッとして顔を上げると。



