「本当はいやだが、美都がしたいようにすればいい。わしは、美都が幸せだと笑ってくれることが1番なのだから」
そして一瞬私をぎゅっと抱きしめた後、おじいちゃんはリムジンに乗り込んだ。
「後は任せたぞ、黒木」
「はい」
「さっきの黒木の話じゃないが……仕事で海外にいたせいで2人が亡くなったことを知ったのも、お前を迎えにいくことが遅くなってしまったのは事実」
「おじいちゃん……」
「今でもそれは心から申し訳ないと思っている。だからと言って、それを理由にするわけじゃないが……わしは美都がやろうと決めたことは全力で応援するし、援助する」
「皇家の人間だとしても、おまえはわしの大事な孫だから」
「っ……」
「もしなにかあれば絶対連絡するんじゃぞ?我慢は無用。甘えることが苦手なのは十分承知の上。そこんとこ、よろしく頼むぞ黒木」
「かしこまりました」
「わしはまた次の仕事に行かねばならん。
美都、またな」
最後に優しく微笑み、リムジンは去っていく。
心がぎゅっとなんとも言い難いほど苦しくなって、あたたかくなって。
また一筋涙がこぼれて。
「ありがとう、おじいちゃん……」
私と十夜さんはリムジンを見送った。



