「その時に決意したんです。この先お嬢様に、絶対つらい思いをさせないと。同時に、お嬢様の大切なものもすべて守っていこうと」
「黒木の考えを知ってわしも協力した。この店をもう一度開こうとな」
「おじいちゃん……」
すべてが元通りになったようだった。
明るい電気が漏れる中で、所狭しと色とりどりにうめつくされる花々たち。
水に生けられたものや、観葉植物。
ラッピングされ売り物として売っているものまですべて。
まるで今にもお父さんがお店の奥から出てくるかのように。
「それにお嬢様、前におっしゃられましたよね」
「え……?」
「部活がしたいと。その時私はだめだと言いましたが……」
「はい」
「このお店をまたオープンさせるので、ここでバイトされてみてはいかがかと思いまして。旦那様は断固反対されましたけど、お嬢様がもしよろしければ……」
このお店で。
お父さんを手伝っていたこの場所で、また働くことができる。
「い、いいの……?」
きっとお母さんが昔小さい頃に襲われたことを気にしてるんだろうな。
あの時も、お母さんが皇家の人間だって世間の人は知ってたって言ってたから。



